研究員の日記

センター長だより1 朝日山に登ってきました 

2023年6月13日の日記  池淵俊一 古代文化センター長

こんにちは。この4月からセンター長として赴任しました池淵です。

よろしくお願いします。

先週の休日に、『出雲国風土記』で「カンナビ(神が籠もる山)」に推定されている松江市の朝日山に登ってきました。またもや山ネタで申し訳ありません…。

とはいっても仕事ではありません。昨年健康診断でメタボ症候群にひっかかり、適度な運動を勧められて山歩きを始めました。

山登りとは言っても近所の低い山ばかりですが、実際に登ってみると、それぞれの山々には歴史や信仰が深く息づいているのに改めて気づかされます。ここでは、仕事とは直接関係ないことも含めて、ときおり島根の歴史・文化に関する話題を発信していきたいと思います。

東から見た朝日山です。立派な山容でひときわ高く見えますね。これだけみると、さすが神名火山かな、と…。

登山道はいくつかありますが、今日は恵曇側から登ります。

登山口付近には駐車場やトイレがあり、立派な石の階段が整備されています。

延々と長い階段を登っていきます。

15分ほど歩くと、階段が終わって山道がはじまります。この道は中国自然歩道としてきれいに整備されていて、歩きやすいです。

さらに30分ほど登ると朝日寺の木橋が見え、これをくぐって東峰方面に向かいます。途中にはお地蔵様や灯籠が並び、古くから信仰の対象であったことを感じさせます。

東峰にようやく到着すると素晴らしい眺望が待っています。写真は恵曇の街並とみと日本海。遠くには隠岐が見えるはずですが、残念ながら霞んでよくわかりませんでした。

宍道湖方面の眺め。こちらの眺望もなかなかです。

途中、朝日寺にお参りします。

続いて西峰の縦走路に向かいます。「トトロのこみち」?

確かに、何か出てくるような、いかにも雰囲気のある道ですね。聞くところによると、朝日寺のご住職さんが手作りで整備されているとのことです。頭が下がります。

ちなみにメイちゃんのお父さんは考古学者という設定です。モデルになった考古学者には、有名な藤森栄一氏など所説があるとのこと。余談でした…。

西峰からの眺望です。宍道湖が一望できます。

さて、ここまでが長い前置きでした。

最初に述べたように、朝日山は『出雲国風土記』に登場する神名火山にあてる説が有力です。

島根県古代文化センターでは、長年『出雲国風土記』の校訂作業を進めていましたが、今年3月に校訂注釈本を刊行しました!

その作業を進める中で、島根郡の神名火山に関する記述は、従来の定説であった「高さ230丈(683m)、山の周り一十四里(約7.4㎞)」というのは後世の加筆によるもので、本来は最も古いテキスト(細川家本)に書いてある、「高さ40丈(118.8m)、山の周り4里(2.13㎞)」とする記述であった可能性が高いことがわかりました。

もしそうなれば、従来の朝日山を神名火山に充てる説は見直しを迫られることになります。興味のある方は、当センターが刊行している下記の文献をご覧ください。

平石充2021「古代・中世の佐太神社と『出雲風土記』」『日本書紀と出雲』島根県古代文化センター

島根県古代文化センター編2023『出雲国風土記-校訂・注釈編-』

いずれにせよ、朝日山は古くから信仰を集めた素晴らしい山であることにはかわりありません。登山道も中国自然歩道としてよく整備されていますので、皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。

なお、個人的には、朝日山に登った後、「鹿島多久の湯」で一汗流すのがお勧めです♪