研究員の日記

佐賀県で吉野ヶ里遺跡出土品の調査をしました。

2024年1月11日の日記  東森 晋 専門研究員

2024年は、出雲市荒神谷遺跡で358本の銅剣が発見されてから40年目になり、古代出雲歴史博物館では銅剣が発見された7月12日から、企画展『荒神谷発見!』を開催する予定です。

古代文化センターでは、荒神谷遺跡に大量の青銅器が埋納された弥生時代の研究を進めており、先日、佐賀県神埼郡の特別史跡吉野ヶ里遺跡へ調査に行きました。吉野ヶ里遺跡は40haもの広大な敷地を壕で囲んだ巨大環壕集落跡で、歴史公園内には100棟近い建物が復元され、弥生時代のクニの様子が再現されています。

雪景色の吉野ヶ里歴史公園

久しぶりの弥生のクニを楽しみにしていたところ、この日は10年に一度の寒波の影響で、まさかの雪景色。これだけ雪が降るのは年に1度ぐらいのようなので、ある意味当たりだったでしょうか。

水墨画のような弥生時代復元建物(南内郭)
吉野ヶ里遺跡の甕棺

公園内の展示室では、発掘調査の写真や出土品展示され、遺跡について詳しく学ぶことができます。展示室の中でひときわ存在感があるのが、亡くなった人を埋葬するための特別な土器「甕棺」の一群です。佐賀県は江戸時代以降焼き物の産地としてとても有名ですが、2000年前の弥生時代にもこれほど大きな土器を作る技術があったことに大変驚かされます。

銅剣・銅矛鋳型(弥生時代中期 石材:蛇紋岩)

吉野ヶ里遺跡では、昨年は神社跡地の発掘調査が行われ、蓋石に多数の線刻がある石棺墓や、国内最古級の銅剣・銅矛鋳型がみつかり大いに盛り上がりました。写真は石で作られた銅剣の鋳型で、反対の面には銅矛の型が掘られています。 今回は吉野ヶ里遺跡の最新調査成果を見学することができ、とても有意義な調査になりました。

吉野ヶ里遺跡出土銅鐸(佐賀県オープンデータカタログサイトより)

吉野ヶ里遺跡では、伝出雲出土銅鐸(木幡家銅鐸)と同じ鋳型で先に製作された銅鐸が出土しています。7月開催の企画展『荒神谷発見!』では、この兄弟銅鐸が並ぶ予定です。お楽しみに!