研究員の日記

古代歴史文化協議会の講演会を収録しました

2021年12月15日の日記 / 角田徳幸 古代文化センター長

「刀剣が語る 古墳時代の幕開け」

古代歴史文化協議会は、島根県をはじめ奈良県・福岡県など古代の歴史文化にゆかりの深い14県が共同で古代の歴史を解明し、広く全国に情報発信するため、平成26年に結成されました。

 令和元年度からは、「古墳時代の刀剣類」をテーマとし、刀剣の検討から国家形成の実像に迫る研究を続けています。この協議会の研究成果は、例年、東京で行うシンポジウムで発表してきましたが、昨年はコロナウィルス感染症の広がりにより開催を見送りました。今年もコロナ禍のためで開催が危ぶまれたところですが、講演会を収録してオンライン配信することになりました。

シンポジウムの様子

収録は、12月15日、岡山県立美術館で講演会を行いました。オンライン配信のための収録は、この協議会では初めてのことです。古代文化センターは、「島根の歴史文化講座+オンライン」など、録画配信を積極的に進めてきましたので、そのノウハウが活きました。収録機材の準備、それから登壇者、撮影スタッフへの指示など、当センター松尾専門研究員は八面六臂の大活躍でした。

松尾専門研究員の活躍

 基調講演は、明治大学の石川日出志先生による「広域交流の重層性―1~3世紀の東アジア・日本列島―」です。福岡県志賀島で出土した「漢倭奴国王」銘の金印をはじめ、青銅鏡や鉄刀・鉄剣、玉類など、弥生時代に中国大陸・朝鮮半島からもたらされた文物が地域や社会階層の中でどのように受け入れられたのかという検討を通して、その交流の意味(首長間の政治的繋がりor 地域間の交易etc)まで踏み込んだ興味深い内容でした。

石川先生の講演が終わると、鳥取県・石川県・福岡県など古代歴史文化協議会前期古墳部会の研究担当者が登壇し、シンポジウムです。山陰・山陽(吉備)・北部九州・近畿において鉄製武器類や銅鏡がどのように受容され展開したのか、検討が行われます。そして、各地域でその様相に違いがみられることから、従来、言われてきたように、大和を中心とした古墳文化は、ある日一斉に広がるのではなく、その時期や受け入れ方が地域によって様々であったことが浮き彫りになりました。 古代歴史文化協議会講演会は、3月より配信となります。配信が始まりましたら、このサイトでもお知らせします。新たな古墳時代像を提示する興味深い内容ですので、是非、ご視聴下さい。