大河ドラマ「光る君へ」と出雲
2024年5月7日の日記 橋本 剛 主任研究員
皆さんは今年の大河ドラマをご覧になっているでしょうか。
私の専門は古代史ですが、古代が舞台となるのは本当に稀です。古代末期から中世初期の源平合戦の頃を描いたものはいくつかあるのですが、完全に古代といえるものは昭和51年(1976)の「風と雲と虹と」のみ。これは主人公・平将門が活躍する10世紀を舞台としていますので、今回のドラマはそれに次ぐ古い時代を扱っているということになります。
実はかなりニッチなネタが随所に散りばめられているのも魅力の一つで、毎週日曜日の放送を楽しみにしています。
さて、物語の重要な登場人物の1人として藤原道長があげられますが、彼は『御堂関白記《みどうかんぱくき》』と呼ばれる日記を残しています(実際には、道長は関白になっていません)。
では、『御堂関白記』に出雲はどのように出てくるのでしょうか。探してみるとこんな記事が見つかりました。
寛弘元年(1004年) 閏9月18日。晴れ。為綱朝臣が出雲より帰還し、手筥《てばこ》を2つ進上した。
為綱がどのような理由で出雲へ派遣されたのか、そもそも彼はどんな人物で、道長とはどういった関係なのか、それらは現状全くわかりません。ひょっとしたら道長は、出雲国と特別な関係にあったのかもしれません。古代文化センターでは今年度から、平安時代をテーマとした研究を開始します。その過程で、道長と出雲の関係についても考えてみたいと思っています。
ところで今回は平安京が舞台ですから、出雲が出てくることはほとんどないと思います。ただし、いずれ重要な場面で耳にすることになるでしょう。実はすでにドラマに登場している人物が、とある罪により出雲へ流されることになるのです。それが誰なのか、そしてどんな罪なのか、期待しつつ待っていただければと思います。