研究員の日記

古代出雲文化シンポジウムの裏側

2024年11月20日の日記  橋本 剛 主任研究員

去る11月17日(日)、毎年恒例の「古代出雲文化シンポジウム」を東京・有楽町朝日ホールで開催しました。 今年2024年は、山代二子塚や大念寺古墳といった島根の大型古墳が国の史跡に指定されてから、ちょうど100年の節目の年にあたります。これを記念して、「六世紀の出雲とヤマト―出雲の大型古墳を語る―」をテーマとして設定しました。

定員を大幅に超える申し込みがあり、当日も大盛況だったのですが、今回はそれに向けた準備の話をしたいと思います。

このシンポジウムでは昨年から、遺跡のロケ映像を上映しています。これは何かというと、講師の先生が講演内で登場する遺跡の現地を訪れ、その場で実際に解説をしてもらう、というものです。昨年大好評だったこともあり、今年も気合を入れて5本の動画(1本につき6分程度)を制作しました。 島根県内では、仁藤敦史先生と古代出雲歴史博物館の松尾充晶課長に参加してもらい、それぞれ熊野大社と岡田山1号墳、山代二子塚と大念寺古墳で撮影を行い、充実した映像に仕上がりました。

仁藤敦史先生のロケ映像撮影の様子

一方、今回は近畿地方の古墳について高橋照彦先生に、九州の古墳について桃﨑祐輔先生に講演してもらう予定でしたので、“せっかくならば”ということで奈良県と福岡県にもロケへ行くことに。ドローンにより、迫力の映像を撮ることに成功しました。

これは桃﨑先生とともに訪れた福岡県八女市の岩戸山古墳(筑紫君磐井の墓と考えられています)のドローン映像です。よくよく見ると、私の姿が小さく映り込んでいます。

このロケ、何が大変かといえば、その撮影時期です。11月のシンポジウムで上映するとなると、編集時間を考えてある程度余裕をもって撮影する必要があります。さらに、せっかく奈良や福岡まで行って雨模様、なんてことがないように、梅雨の時期も避けなければなりません。そうなると、必然的に撮影は7月末~9月前半、猛暑の中でということになります。ロケ地には日陰がまったくない場所もあり、まさに体力勝負の撮影となりました。

こうした苦労は、完成した映像だけを観てもあまり伝わらないかもしれません。ただ、先生方の熱のこもった解説の裏で、それをかき消すかのような“かまびすしい”セミの鳴き声から、真夏の暑さを汲み取っていただけると思います。

今回のシンポジウムの模様は、年度末に当センターのYouTubeチャンネルで公開予定です。会場の様子はもとより、精魂込めて作り上げたロケ映像にもご注目ください。きっと、現地を訪れてみたくなるはずです。