研究員の日記

石見焼窯元の調査

2025年3月26日の日記  榊原博英  特任研究員 

2023年6月の研究員の日記にもありますが、引き続き浜田市上府町の吉田製陶所に行き、焼物製作に使う道具の記録調査を行いました。前回に続き、吉田さんに様々なことを教えていただきました。

今回は、道具を使用している様子を、動画と写真で記録しました。

ろくろ上で、様々な道具を使い粘土の塊から上に引き出し、器に仕上げていきます。

石見焼の代表的な甕(はんど)の下部を成形しています。

内側に曲面のある杓子、外面は直線のコテで粘土を上に引き伸ばします。

ガス窯で焼く前(左)と焼いた後(右)のつぼを並べました。窯で焼くと約15%小さくなるようです。釉も白色が灰色、模様は灰色から青色に発色しています。

石見焼は、水がめや物を蓄えるつぼ、すり鉢などの中大型品が有名ですが、手のひらにのる小さなふたつぼがありました。

頼まれてつくられたそうですが、色合い、模様など素朴な石見焼伝統のふたつぼの特徴そのままです。小さいので、逆につくるが大変とのことでした。

以前は森で見えなかった登窯が、見学者のために伐採され、よく見えるようになりました。全長約31m、11の部屋がある登窯は、焚口部分が破損し、昭和51年にガス窯に代わりました。現在も周りで陶土をとっており、焼物に適した粘土が豊富にある地域です。

明治時代末から大正期の石見焼が最も盛んだった頃の様子がうかがえ、受け継がれた技術は現在まで伝えられています。