3月は研究会ラッシュ!
2022年3月25日の日記 松尾充晶 専門研究員
今日は20℃まで気温が上がり、日中は汗ばむほどでした。陽気につられて、古代文化センターの窓から見える桜も今日、一気に開花しました!この木は陽当たりの良い場所に生えているせいか、毎年いち早くつぼみがほころび、古代センに春の訪れを知らせてくれます。職員の中では「毎年、松江市内でこの木が一番はじめに咲く」と信じられています。本当かどうかはわかりませんが。
さて、私たちの研究事業に参画してもらっている客員研究員の多くは普段、大学教員としてお務めの方々です。大学の入試・卒業式がひと段落する3月は先生方のスケジュールが空きやすいため、必然、当センターの研究会もこの時期に集中しがちです。今月の研究会を列記してみますと、
■祭礼行事調査(3月3日)
■中世山陰の戦争と地域社会(3月7日)
■島根県域における弥生社会の総合的研究(3月8日)
■考古基礎資料調査(3月11日)
■古代隠岐の形成と特質(3月13日)
■近世近代の交通と地域社会経済(3月20日)
■出雲と伊勢(3月23日)
このように立て続けに研究会がおこなわれ、まさに“研究ラッシュ”の3月でした・・・
ちなみに大トリを飾った「出雲と伊勢」の研究会で議論されたテーマはこんな内容です。
☆平安時代の出雲の仏像彫刻には、「出雲様式」と呼べるような独特の様式があったのか?
☆古代出雲の海産物は、杵築大社の神に供えられただろうか?
☆平安時代の出雲国造と朝廷・出雲国司は神マツリをめぐってどのようにせめぎ合ったか?
☆伊勢神宮に内宮・外宮の別があるのはなぜ?
☆出雲大社の門前町は、どのようにできあがったのか、伊勢の門前町との違いは?
出雲と伊勢という個性的な2つの地域を比べてみよう、という壮大なテーマをかかげたこの研究事業、今回の研究会ではかなり具体的な視点が見えてきました。
また研究会の翌日には、研究報告で扱った美保関(松江市美保関町)に訪ね、美保神社・仏谷寺などの歴史資料調査をおこないました。美保関は海上交通や海産物の生産において重要な土地ですが、その点では伊勢・志摩もよく似ています。出雲と伊勢に共通することは何か、古代国家にとって、2つの地域はどのような役割があったのか、などを熱心に議論しながら、濃密な時間はあっという間に過ぎていくのでした・・・