古代のSDGs!?建物木材の再利用
2022年6月1日の日記 東森 晋 専門研究員
先日、弥生時代終わり頃(今から約1,800年前)の木製品を、古代出雲歴史博物館・埋蔵文化財調査センターの職員と共同で調査しました。
通常、木製品は遺跡から良好な状態で出土することはそう多くありません。しかし、低地にある遺跡では、地下水等で酸素が遮断され、奇跡的に大昔の木製品が出土することがあります。これらは乾燥させると収縮し変形してしまうので、発掘現場から持ち帰った後、保存処理を行うまで水槽に入れて保管します。
今回の調査では、大田市仁摩町の大寺遺跡で出土した木製品を腰まで水槽につかりながら取り出しました。
遺跡から出土する木製品は、食器のような小さなものから、何mもある建築材まで大小様々です。大寺遺跡の木製品は、水田の整備に使われた大型の建築材が多く、水槽からの取り出し作業もたいへんです。大きく重たい上に、脆くなっているので、水から取り出した後は、2・3人がかりで慎重に運びます。水槽から取り出した約50点の木製品の特徴を観察したところ、倉庫の柱や壁、はしご等を再利用していることが分かりました。
今回の調査をとおして、弥生時代の人々のリサイクル術を垣間見ることができました。SDGsが叫ばれる昨今、私たちも弥生時代の人々を見習わなければ、と感じた1日でした。